「俺さー進路決めたよ!」
「私ね、就職することにしたの」
「行きてー学校あるんだー」

「「「お前も頑張れよ」」」


フン。何を頑張れってんだ。クソ。



― 夢は殺した ―





彼は“進路調査書″と書かれた紙をグシャリと握り潰した。
何なんだこの紙は。メチャクチャ重てえよ。


―俺、将来はさぁー・・・


最近、昔俺が言ってた夢がやたらと頭を過ぎる。
突然思い出したんだ。
馬鹿だったなこの頃の俺は。無理に決まってるよ。そんな夢。

だから、あっち行け。今、俺が目指すべきはそんな夢じゃなくて、
もっと現実を考えたものだろう。
叶わない夢なんて追うだけ無駄。時間の浪費。



―俺、将来はさぁー・・・



どうして、まだ捨てきれないのかこの夢は?

















*****



「お前もう進路決めた?」
旧友が彼に尋ねた。旧友は既に決まっているようだ。
「・・・別に、まだだよ。」

「何だよ昔立派な夢持ってたじゃん!」
「昔だろー?」

旧友はムッとした表情を見せて、それからすぐ遠くを見た。

「・・なんだ。あん時のお前真剣だったのにな」