「そろそろいいかな…」

未知が呟いた。


グツグツと音をたてる鍋を囲んでいると 拓也君がニコニコしながら立ち上がった。


そして自分の後ろに隠していた物を取り出した。


「お姉ちゃんおめでとう!プレゼントだよ!」


拓也君が差し出した画用紙を広げると そこには二人の人間がカラフルに描かれていた。


「お姉ちゃんとお兄ちゃんだよ」


「わぁー!ありがとう!拓也君の絵 すごく上手だね!」


未知に褒められて 拓也君は大きな目をますます輝かせた。


「えへへ。僕ね 大きくなったら絵描きさんになるんだよ」


「そう!拓也君の夢は絵描きさんになることなんだね。お姉ちゃんの夢は翻訳家っていうお仕事をすることなんだけど…今日はね その夢が叶ったお祝いなの」


「ホンヤクカ…?」


「うん。だから拓也君も頑張ればきっと絵描きさんになれるからね!」


「うん!僕頑張る!」


「よし!じゃあ…すき焼きをいっぱい食べて早く大きくなるように頑張ろう!」


「おー!!」