この世界で君を愛す

「僕が出るよ」


インターホンの画面に映っていたのは正木だった。


こいつを忘れてた…。


すき焼きなのに呼ばなかったなんて知れたら暴れるかもな。


僕が玄関のドアを開けると 正木は待ってましたと言わんばかりに僕に抱きついてきた。


「うっ上田さーん!」


「うわっ!なんだよ!」


「俺…また振られましたー」


「また振られたの?予想はついてたけどさ。お前もいい加減 振られることに慣れたら?」


僕は自分から正木の体を無理矢理引き剥がした。


「ひどいっす。上田さーん!」



正木が部屋に入り 床にどさりと座ったところで未知が顔を出した。


「正木君 いらっしゃい!って…あれ?何このよどんだ空気」


「また振られたんだって」


「えぇっまたぁ?でもほら…今回はダメでも次は…うーん次の次の次くらいには上手くいくかもしれないしね。元気出して!」


「未知さん…それじゃー全然元気出ないんですけど」


未知の励ましによりますます落ち込む正木であった…。