6月の初め 僕が窓を開けて爽やかな空気を吸い込んでいると まるで突風のような勢いで未知が部屋に飛び込んできた。


「たっただいま!渉!」


未知は頬を上気させて 汗ばんだ
額には髪が張り付いていた。


「お…お帰り。どうしたの?そんなに息せき切って」


何かいい事があったのかな?


僕は未知の輝いた瞳と 何か言いたそうに緩んだ口元を見て思った。


未知は胸に手を当てて深呼吸すると ゴクンと喉を鳴らした。


「あのね!…っと その前に水!喉が張り付いちゃって…」


僕はずっこけそうになったが 冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すとグラスに注いだ。


「はい。どうぞ」

「ありがとう!」


美味しそうに水を飲む未知の白い喉が波打つのを見ながら 僕は彼女が話し出すのをワクワクしながら待った。



僕は…未知が輝いていると嬉しいんだ。