この世界で君を愛す

「失礼しまーす」

係員の若い男が僕の安全ベルトを確認した。


僕と未知はこの遊園地で1番人気の絶叫マシーンの座席にいた。


本当に大丈夫だろうな…?


ビクビクしている僕を見て 未知はクスクス笑っている。

「渉…大丈夫?挙動不審だよ?」


「大丈夫?って聞くくらいなら最初からこんなの乗せないでよ」


「武士に二言はないんでしょ?」


「前言撤回したいけど…ああっもう逃げられないし!」


けたたましい発車のベルが鳴ると ガクンと大きく揺れた後ジェットコースターは動きだした。


カタン…カタン…カタン…。


この後 1番高い所まで登ったら一気に急降下…。


僕は顔から血の気が引くのを感じた。

決して高い所が苦手なわけじゃないが 下に落ちる時の感覚がどうしても苦手だった。


ふと隣を見ると 未知はギュッと目をつむっている。


…怖いなら乗らなきゃいいのに。


実は未知は高い所が苦手だ。

なのにジェットコースターに乗りたがる。