この世界で君を愛す

園内は賑やかな音楽が流れ 親子連れや友達同士 そして僕達のような恋人同士が それぞれの楽しい時間を過ごしていた。

僕達はその人込みを楽しむようにして ゆっくり歩いた。


回りの人から見れば 僕達も普通の恋人同士に見えるんだろうな。

きっと誰も…僕と未知が一年前に死に別れているなんて思いもしないだろう。


僕は自分の足元を見つめた。

昼下がりのレンガ道に やはり僕の影はなく…わかっていた事なのに 急に自分だけが違う世界にいるような気がした。


「渉?」


そんな僕を連れ戻してくれたのは未知の手の温もりだった。


未知は僕の気持ちに気付いたのだろう。


僕は未知の手を引き寄せると その白くて細い腕にキスをした。


未知は顔を真っ赤にして慌てている。


「なっなに?どうしたの突然」


「なんでもないよ。未知が好きだからしただけ。さぁ!何に乗る?今日は何でも付き合うよ?」