この世界で君を愛す

赤いほっぺたをした拓也君はニコニコしながら 右手を正木 左手を真奈美さんと繋いでいた。


その後ろ姿は本当の家族のようだった。


「正木君と真奈美さんが上手くいく日も そう遠くはないかもね。」


未知が僕にこっそりと話した。


「うん。なんだかんだ言って…お似合いだと思うよ。正木はいい父親になりそうだしね。」



自分の事を話されているとも知らず 正木が振り向いた。


「上田さんも未知さんもチャッチャと歩いてくださいよ?置いてきますからね~。」


「…はーい。」



僕達は少しだけ歩く速度を上げた。



笑いながら僕を見上げる未知の口元から 白い息が出てきては消えていった。