この世界で君を愛す

私が父の腕につかまるとすぐに チャペルの扉が静かに開かれた。


パイプオルガンの音が響く中 父と私はゆっくりと歩いた。


一歩踏み出しては立ち止まり そしてまた一歩…。


足を踏み出す毎に 父や母との思い出が 私の胸に蘇る。


一つ大人になる度に両親のそばを少しずつ離れ…不安になって振り向けば いつもそこに二人がいた。


私を見守ってくれた父と母。




向こうで渉が待っているのが見えた。



お父さん。


今お父さんと繋がっているこの手を…やっぱり離したくないよ。


だけどお父さん。


私は渉が大好きだから…。


だから…。


渉と手を繋ぐね。




両親はこの結婚式を許すと決めた時 きっと悩み苦しんだだろう。


それでも私の願いをわかってくれた…。


それを思うと…私の視界は涙でぼやけるのだった。