ずっと前と同じように 私は鏡の中の自分の姿を眺めた。


あの時と違うことは…今私の隣には渉がいるということ。



「私じゃないみたい…。」


ポツリと呟いた私を 鏡の中の渉がからかった。


「キレイだよ。馬子にも衣装ってね!」


「あっひどい!渉だってタキシードに着られてるんじゃないの~?」



真奈美さんはクスクスと笑っている。


「私には お二人とも最高に素敵に見えますよ?10分後にまた迎えに来ますね。」


そう言うと真奈美さん達は部屋から出て行った。



私達は二人きりになり なんだか急に恥ずかしくなってしまった。


どちらも話をすることなく 部屋の中はシーンと静まり返っている。


私は咳ばらいをして口を開いた。


「あの…。」

「あの…。」


二人同時に話し出したのがおかしくて 私達はぷっと吹き出した。