この世界で君を愛す

未知の両親に会ってから三日ほど過ぎた頃 僕達はテーブルの上の物を熱心に見ていた。


「どっちかがいいなー。」


そう言って未知が見ているのは沖縄と北海道の旅行のパンフレットだった。


「北と南…ずいぶん極端だね。」


僕が笑うと未知はほっぺたを膨らませた。


「だって どうせ旅行に行くならできるだけ遠いほうがいいでしょ。せっかくなんだから。」


「あはは。いいよ 未知の行きたい所で。でも冬の北海道は大変だよ…?」


「うーん そうかぁ。」


未知はブツブツ言いながらまたパンフレットに見入った。




結婚式の事で落ち込んだ未知をなんとか元気づけたくて ちょっとした旅行を提案したのだった。


「海外じゃなくてごめんね 未知。」


僕はパスポートを持っていないし作れないのだから仕方がないことだった。