この世界で君を愛す

渉のお姉さん…。


初めて会ったのは 私のバイト先だった。


「上田渉の妻ですけど」って言ってたなぁ。


何て言うか…面白くて 賑やかで 気さくな感じがして…すっきりとした目が渉とよく似てて。


私と気が合うように思った。



お姉さんに最後に会ったのは…渉のお葬式だった。


お葬式で「渉のバカを許してやってね」って…泣きながら私の手を握ったんだ。




「正木君 お姉さんと仲良くなったんだね。番号交換するくらいに。」


「交換っていうか…いつでも上田さんの情報がわかるようにって…無理矢理交換させられました…。」


「あはは!あのお姉さんなら そうしそう。」


「上田さんが あのお姉さんに鍛えられたのかと思うと…俺楽しくてしょうがないですよ。」


正木君はニヤニヤすると目を細めて 煙りを吐き出した。


わっか型の煙がゆらゆらと天井まで上がると ゆっくり分散していった。