この世界で君を愛す

正木君は電話で誰かと話していたが その口ぶりから どうやら相手も私を知っているようだった。

正木君が携帯を耳から離してテーブルの上に置いたのを見届けると 私は電話の相手について聞いてみた。


「ねぇ 正木君。いったい誰と電話してたの?」


「未知さんも知ってる人ですよ。」


「うーん…わかんない。真奈美さんとか?」


「残念!外れです。上田さんを丸め込む…じゃなくて…説得できるのは この人しかいないと俺は思います。」



渉を丸め込む…じゃなかった。


説得できる人…。


あっ…もしかして…?



「もしかして…渉のお姉さん!?この前渉の実家で会ったんでしょう?」


正木君は手をパンッと叩いた。


「正解!今から来るそうですよ。」


「え…今から?ここに?」


「はい。そうみたいです。」


そう言うと 正木くんはタバコに火をつけた。