この世界で君を愛す

「上田さんは…未知さんのこれからを考えて うん と言えなかったんじゃないですか?」


「わかってるけど…。」


「わかってるなら…。もちろん未知さんの気持ちもわかりますよ?でも…。」


「私…渉と約束したの。強くなって前に進むって。だけど…一つだけ心残りがあって。それが結婚式なの。私と渉が愛し合ってたんだっていう最高の証が欲しいの。間違ってるのかもしれないけど…。」


「未知さん…。」



正木くんは「うーん」とうなった後で深い溜め息をついた。


「わかりました。でも…上田さんを説得するのは難しいですよ。」


「だよね…。」


「しょうがない…あの人に頼んでみましょう。」


「あの人って?」



正木君はニヤリと笑うと携帯電話を手に取った。