この世界で君を愛す

小一時間程たったところで店の入口に吊り下げられたベルが鳴り 正木君が入ってきた。


「早かったね。」


「ちょうど仕事も切りのいいところだったので。車ぶっ飛ばして来ました。」


「そっか。ごめんね。」


「謝らないでくださいよ 水臭いなぁ。」


そう言うと正木君は照れ笑いをした。



きっと仕事を無理に終わらせて来てくれたのだろう。


正木君の優しさが 本当に嬉しかった。



「それで…何でケンカしたんですか?上田さんと未知さんが本気でケンカするなんて珍しいですよね。」


「うん…。実は…。」



さっきの出来事を話すと 正木君は顔を曇らせた。


「そうだったんですか…。でも俺は上田さんの気持ちもわかります。未知さんだって本当はわかってるんでしょう?」


「わかってはいるけど…。」