この世界で君を愛す

「あとね。渉が高校生の時に付き合ってた彼女。」


「今度は何したわけ?」


なんだか…姉さん楽しそうなんだけど。


「家に遊びに来て 怒って帰っちゃった時があったでしょう?」


「あぁ。そんな事あったね。」


あの時…僕がジュースを持って部屋に戻ると 何故か彼女が怒ってて「最低!」って僕にビンタをして出ていったんだっけ。


あぁ…聞くのが怖くなってきた。


「姉さん。何か…したの?」


「渉がいない隙にその子に会ってね…渉の彼女に会えて嬉しい!いつもあなたの事を渉から聞いてるよって言ったの。」


「別に普通の事じゃない。なんでそれで彼女が怒るわけ?」


「彼女を別の女の子の名前で呼んだから。」


……。

昔の事 昔の事。


僕は心を落ち着けながら聞いた。


「何でそんな事したの?」


「渉がどんな反応するか見てみたかったから。」


……。


そう。


姉は…こんな人だった。


だけど憎めない…得な人だった。