この世界で君を愛す

昔の想い出話になると 姉は急に僕に謝りだした。


「渉 ごめんね。」


「は?何が?」


僕にはさっぱりわからない。


「中学校の時…渉に初めて彼女ができたでしょ?」


「…うん。」


でも僕はすぐに振られたんだよね。

何でだっけ?


「あの時ね…その彼女の大好きなアイドルの直筆サインを見せて 渉と別れたらこれをあげるって言ったの。そしたら彼女はサインを選んだ。」


…何それ。


「何でそんな事したの?」


「彼女が渉を本当に好きなのか試してみたかったから。ごめんね。」


ごめんね…って。


いまさら謝られても困るけど。


「別にいいよ。昔の事だし。」


僕がそう言うと 姉は顔を輝かせた。


「よかったー。ずっと心に引っ掛かってたの。あとね…。」



………まだあるのか。