この世界で君を愛す

「お前が死んでしまって…父さんも母さんも毎日辛くてどうしようもなかった。なんで渉が…って神様を恨んだよ。正直言って…事故の相手を許すことは一生できないだろう。でも目を閉じると小さい頃の渉が出てきてニコニコ笑うんだ。お父さん泣かないで笑ってよってな。その後は少しだけ胸が落ち着くんだ。お前はこうやって今でも私達を励ましてくれているんだから。だから謝る必要はないんだよ。」



父の言葉が静かに胸に染み込んでいった。



僕は…こんな父と母の元に生まれて…本当に幸せな人間だ。



「僕は…。」

僕は涙で喉を詰まらせながら言葉を出した。


「僕は父さんと母さんの子供に生まれて…この家で育って…本当に…本当に幸せだった。だから…あっ…ありがとうございました！」



僕は深くお辞儀をした。



もう家族全員涙でぐちゃぐちゃで…正木も大泣きして…知らない人が見たら驚くだろうけど…。


こんなに温かい家族団欒はきっと他にない。



父さん…母さん。


僕は…。


本当に幸せだったよ。


ありがとう。