この世界で君を愛す

しばらく背中をさすっていると 母は深呼吸を何度かして口を開いた。


「大丈夫。もう大丈夫よ 渉。」


姉もホッとしたのか 明るい声を出した。


「ほら!だから言ったでしょう?」


「そうねぇ。びっくりしたわ。」



僕は母に聞いた。


「母さん。僕が本当に僕だと信じてくれるの?」


「当たり前じゃない。あなたが渉だっていうことは 誰よりもわかるわよ。」


母は優しく微笑んだ。


僕は子供の時から 母さんのこの笑顔を見ると安心できた。


小さい時も 大人になってからも…母さんが笑って「大丈夫よ」って言うと 本当に大丈夫な気がしたんだ。