この世界で君を愛す

15分程経っただろうか。

玄関のドアが開くと 姉がトボトボと出て来た。


正木が詰め寄るように姉に聞いた。


「どうでしたか!?」


姉は深い溜め息をつくと 頭を左右に振った。


「それがね…。悪い冗談言うなって怒られちゃった。」


「悪い冗談ですか…。無理もないですね…。」


「そう思うのが普通だよね。冗談なんかじゃないって頑張って説明したけど…オレオレ詐欺じゃないかって。」


「オレオレ詐欺は電話じゃないですか!」


「まあ そうなんだけど。騙されてるんじゃないかと疑ってるみたい。」


姉と正木の会話を黙って聞いている僕に 姉はニッコリと微笑んだ。


「そういうわけだからさ。勇気を出して直接行ってみよ~!」


「えぇっ!?」


有無を言わせず 姉は僕の腕をぐいぐい引っ張った。


「ちょっ…姉さん!」


「男がぐだぐだ言うんじゃない!行くわよ?」


「…はい。」


こうして僕は 姉にされるがまま…ぶっつけ本番で両親と会うことになったのだった。