この世界で君を愛す

その時玄関のドアが勢いよく開いた音がした。

そしてパタパタという足音。


「ただいま!あーっ 正木おにいちゃんに 渉おにいちゃんもいる!」


「おかえり 拓也くん」

拓也君は僕達が泣いていたことに気付いたのか ジーッと見ている。


「い いや…男が泣くなんてカッコ悪いよね?」


「そんなことないよ。僕も時々泣くもの。それに泣いてる人をばかにしちゃダメなんだよ。抱きしめてあげなきゃ」


そう言うと拓也君は僕達三人の背中を順番に抱きしめていった。


「ありがとう…拓也君…」


「どういたしまして」


その言い方が変に大人びていたので 僕達はおかしくなって笑った。



心が温かくなった。