この世界で君を愛す

両親が車で部屋まで送ってくれた。

車を降りる時 ずっと黙っていた父が私に言った。

「未知。気が向いたら帰ってきなさい。お前はいつまでも私達の大切な娘だ。その事を忘れてはいけないよ」

「…うん」


父は私を心配しているのだろう。

父は前を向いたままだったけど…普段はそんな事を言わない父の愛情を感じたような気がした。




私は一人で階段を昇り 二階の廊下を歩いた。

カツカツという 私の足音だけが響いていた。



205号室。


渉と私の部屋。



私は鍵を開けると ためらいがちにドアを開いた。