朝晩の風がひんやりとして 秋の気配を感じる頃…僕は正木と二人である人の家を訪れていた。




ことの始まりはこうだった。




いつものように僕のアパートに正木がやってきた。


「ふぅ…」と溜め息をつく正木を見て僕は言った。


「なんだよ 溜め息なんかついて。仕事で失敗でもしたの?」


「いえ…そうじゃないんですけど…」


正木はまた溜め息をついた。


「じゃあ どうしたんだよ?調子狂うなぁ」


「それが…真奈美さんのことで…」


「真奈美さん?もしや…とうとう振られたとか?」


「ちっ違いますよ!」


「じゃあいったいなんなんだよ。」


「それが…真奈美さんに手紙が来て…」


「手紙?誰から?」



「亡くなった旦那さんからですよ」




開け放した窓から冷たい風が吹き込んできた。