この世界で君を愛す

全てが終わり 人がまばらになっていくなかで 立ち尽くす私に母が声をかけた。

「未知…今日は家に帰ってきたら?」


でも私は断った。


「そっか…。でもちゃんと連絡はよこしなさいね?」


母がそれ以上何も言わないでくれたことがありがたかった。


「ごめんね お母さん」

母はちょっとだけ微笑んだけど 悲しい目だった。



今日は一人でいたかった。


渉と過ごした部屋に早く戻りたかったから。


渉の匂いのする部屋に いたかったから。