この世界で君を愛す

未知の手には下駄がぶら下がっていた。


くすん と鼻をすする未知がなんだかとても小さく見えた。



「ほら」


僕は未知に背中を向けてしゃがんだ。


「おぶってあげるから。このままじゃ本当に風邪ひいちゃうよ。早く乗って」


「…うん」


少しためらいながら近付いて来た未知を背負うと 僕は歩き出した。



未知は僕の背中に腕を回すと キュッと力を入れた。


「首しめないでよ?」


そんな僕の言葉にも 未知は小さな声で「うん」と言うだけだった。