この世界で君を愛す

未知はコンクリートの出っ張りの上に立っていた。


俯いた未知の足は何故か裸足だった。



「未知?」



僕が呼ぶと 未知はゆっくりと振り向いた。



未知の顔は雨で濡れているためよくわからなかったが…。


多分泣いていたのだろう。


未知の瞳までも濡れているのを見て僕はそえに気付いた。



「未知…泣いてたの?」



未知は答えずに 僕をじっと見ている。



「風邪ひくよ?とにかく帰ろう」


「…の」


「え?」



未知は声を震わせながら言った。


「下駄の鼻緒が切れちゃって…歩けないの」