この世界で君を愛す

僕と未知は手を繋いだまま花火を見ていた。


ついにフィナーレ…という時は 今回で一番豪華でキレイな花火が上がった。


大きな柳が同時に何個も上がり 一瞬遅れて「ドン!ドン!」と音がするなか 少しずつ夜空に消えていった。


あとに残る煙の匂いが お祭りの終わりを告げているようだった。


「終わっちゃったね」

そう言って微笑む未知は少し寂しそうに見えた。


それを打ち消すように未知は元気良く立ち上がると僕に手を差し出してきた。

「それじゃ 帰ろうか」

僕も未知の手を掴んで立ち上がった。

「うん。帰ろう」



僕達が歩き出したその時…。



ポツ…ポツ…。



僕は上を見上げた。


「…雨だ」