エレベーターフロアに向かう途中で、母が何度も怒る。
途中にあるナースステーションを指差して
「ほら、あの部屋。あそこにいたんだよ。かくれんぼしてたの〜。」
どうりで、見付からないはずだと、また怒られた。
駐車場まで歩く間に【癌】の事だけ抜かして、大体の話をした。
上手な嘘のつき方は
なるべく嘘をつかない事だ
何かの本で、昔、見た気がする。
姉に、今言った事を伝えられるか、母に聞いてみる。
『何だか…わかんない。』
ホントの事の中に、少しでありながらも、最大の嘘を混ぜこんだ。わからない様にしたのは、私だ。
「じゃあ、ねーちゃん帰って来たら電話貰えるかな?私は、携帯やっぱりオカシイから携帯屋さん寄るから今日は自分チでご飯食べるね。」
病院から実家までの五分の間に、大きな嘘と小さな嘘と。
母を降ろして、携帯屋さんに向かった。


