☆花咲く頃に.。.:*・°


【10月11日〜13日】

入院の為の書類。

私が書いた連帯保証人の欄以外は、白紙のままだ。

『聞きながら書こうと思って…』

入院を前にした父が、気弱になっている様な気がした。


姉に聞きながら、やっと書き始める。

「入院する人の名前…俺か?」

『他に誰がいんのー?アタシやお母さんの名前書いてどーすんのよ?』

笑いながら、父と向かい合う。

「医師からは何と言われましたか?……何て書けばいんだ?」

『さ、知らな〜い。何て言われたのか、そのまま書けばいんでしょ〜?』

『…何て言われたの?』

「……あんまり覚えてない。」


時は…そう。名俳優の緒形拳さんが亡くなったと、テレビで連日流れている。

そんな時期に医師から告げられた話を、父が混乱して覚えていないのも無理はないか?


そしてまた[ガン患者支援チーム]のチラシを見て、

「ここに行く事になるんだろうなぁ」とも言う。

憶えているじゃないの。先生が何度か言った言葉を。

「そんなに長くはならないべ。」


これは…検査入院だけで終わるつもりなのか、それとも…。


どちらか分からなかった。

聞こえないフリをした。