父は…悪い所を切ってしまえば、治ると思っているみたいだ。
『切れば治るんですよね?』
身を乗り出して聞いていた。
上の兄2人…癌が見付かった父のお兄さん達は、早期の発見で、回復していた。
けれども。
先生の口からは、いきなり【癌】と言う言葉が4、5回出た。
パチンコなら、鉄板的に擬似連だ(笑)
その後、ナースから入院について書類で説明を受ける。
父は…動揺していたのだろう。
ナースの前に置いてある椅子に座るまで、ナースは父に
「おかけ下さい」を、
3回繰り返さなければならなかった。
記入箇所や入院当日の持ち物などの説明に淀みが無い為、まるで頭に入らない。
会計書類を待つ間にチラリと中を見る。
ハラリと落ちた紙には
【当病院ではガン患者支援チームを整えております】
『まだ何にもわかんないのにな』
そう言って父は笑った。
一番わかっているはずの父が、笑った。
10時の予約は、この頃既に昼を回っていた。
やや希望的観測の父。
入院病棟は8階・消化器内科。
見晴らしだけは、良さそうだ。


