夜の暗闇が、どんどん白くなっていく。

窓越しの風が澄んでいく。

母さんの、不規則なヒールの足音が聞こえる。

帰って来た。

「痛いなぁ。足。」

母さんは酔っ払っていた。

「ハイヒール変えなきゃ。
ダメだコリャ。
安物って、すぐ擦り減るんだ。」