夏休みだった。


梅雨が降り続いた真夏。
その日もあいかわらずすごい雨が降っていた。

お母さんから頼まれた買い物のお使いに行って
スーパーからの帰り道、

狭い路地の電柱の前である男の人が

傘もささず何かをじーっと見つめていた。

そして聞こえた彼の声。

「寒いだろ、よしよしこっち来い」

彼は腕を伸ばし何かを自分の胸に抱いた。

「ニャーン」
と聞こえた小さな鳴き声。

「ハハッ、こいつ、かわいいなぁ。俺の腕の中どうだ?暖かいだろ?」

「ニャーン」