ズ…グ、ジュル……グジュ……!!

デュオがヴァイオラの血をすする甘い音が部屋中に溢れる。

ルシアはその音に吸い寄せられるように、デュオが噛みついている左側と反対側のヴァイオラの首に向かって飛び込んだ。

……ブチッ!!

「あ……!!ル…シア…」

両側から二人に噛まれ、気を失いそうに恍惚の表情を浮かべるヴァイオラ。

彼女はしばし身もだえるように体を震わせると、優しく二人を抱きしめながら二人が血をすする音を聞いていた。

「かわいい子たち……。早く、美しく強く…成長するの…です。あなたたちのエクスタシーは、きっとわたしたちを永遠の甘美な世界へと……導いてくれるでしょう」

ルシアは、彼女の血をすすりながら、隣でその甘美な唇をヴァイオラの首に押しつけるデュオを見つめていた。

(お兄様の血と…唇が欲しい…)

ルシアは、子供ながらに嫉妬していた。

食事とは言え、兄の唇をその首に受けとめる女の存在に………。




ひとしきり血の食事を与え終え、ヴァイオラは立ち上がった。

その後ろ姿を、ルシアは幼いながらも色艶のある声で、呼びとめた。



「ヴァイオラ、わたくしもそろそろ、お兄様の血を飲みたいわ」


ヴァイオラは驚いた表情で振り返ると、子供をあやすように甘く優しい声で答えた。


「まだ、ルシア様もデュオ様も吸血の量の限界を知らないでしょう?子供は血の甘さに酔いすぎてお互いを殺すまで吸血してしまうものなの。まだ血の少ないあなたたちがお互いの血を吸うのは危険なのですよ。もう少し、大人になるまでお待ちください、ルシア様」