それから3年後。

美しく可憐な少女に変身したルシアは、バイオレットのバラのドレスを身にまとい、ヴァイオラに微笑みかけていた。

「ルシア様、そのドレスとてもお似合いになりますよ。ほんもののバイオレットのバラのようですわ」

「ありがとう、ヴァイオラ」

少女の中に妖艶な色香を漂わせるルシアの微笑み。

ヴァンパイアの成長は人間のそれよりも著しく早い。

ルシアの姿は既に15、6歳の少女と変わらなく成長していた。

そして、デュオもまた……。

「ルシア、そろそろ私たちも行こうか」

着替えを済ませて現れたデュオの黒の燕尾服姿は、ヴァイオラに美しい成熟した大人の色気を感じさせた。

「……デュオ様、今日はデュオ様とルシア様の10歳のご誕生日。いよいよお二人も大人の仲間入りですね」

感慨深げに二人を見つめるヴァイオラの視線。

母のように温かい心で見つめるまなざし。

だが突然その視線を横切って飛び込んでくる少年の影があった。

「デュオ様~!!とうとうこの日がきたのですね!感激です!!」

青の瞳を輝かせてデュオに駆け寄った少年にデュオが応える。

「ブルース。今日は私とルシアの成人を祝うダンスパーティだ。…頼むから静かにしててくれよ」