デュオの言葉は、何も知らないルシアに言い聞かせるかのようだった。

『ルシア、私たちは孤独なのだ…』と。

「…でも、どうしてなの?ヴァイオラ、どうして自殺をしようと?」

ルシアが問いかけた瞬間、ヴァイオラはビクリ、と肩を震わせた。

そしてふっと苦い微笑みを返したヴァイオラはゆっくりと話し始めた。

「ヴァンパイアになったわたしは、孤独でした。わたしには家族は姉しかいませんでしたが、愛する恋人もいてとても幸せでした。でもヴァンパイアになったわたしは姉と恋人を吸血してしまうことを恐れて姿を消しました。そうするしかなかったのです。……でも、ある日…」

そこまで話したヴァイオラは自らを抱きしめるように体を縮めると、床へ崩れ落ちた。

「わたしは知ってしまったのです!姉と彼が結婚しようとするのを。どうしようもなかった。激しい嫉妬と孤独でわたしは息が詰まりそうだった。そうして思わず……姉をヴァンパイアにしてしまったのです。姉はその後毎晩悲しげにピアノを弾きました。わたしと一緒に生きようと言っても姉はただ首を振るだけでした。わたしたち姉妹には、愛する彼をどうしてもヴァンパイアにすることはできなかったのです」

デュオは静かに視線を落とし、呟いた。

「そして……姉は自殺したんだね?」

「………ええ」

ルシアは胸に押し寄せる感情の荒波の正体がなんであるのかを定められずにいた。

これは同情…?

「そして、姉の自殺を知った彼もまた……自らの命を……!」

「!?」

「わたしは、自分の浅はかな嫉妬のせいで、一度に二人の愛する人を失ったのです」