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 授業が終わり、HRも終わったざわつく教室。

「図書室なんて行くことないって。絶対にわざと指輪持って行ったんだよ。確信犯だね」

 生徒会の集まりに行く志穂に釘をさされた花乃は、しかし、図書室へ向かった。


 淡いピンクの石が埋め込まれた指輪。
 確かに感じた。
 見た瞬間。

 それは、直感にも近く。
 胸の奥から聞こえてきた声。

ーー大切なモノだ

 それは、理屈なんかじゃない。


 だけど、それと同時に湧き上がる疑問。

 それなら、なぜ忘れているんだろう。


 考えても考えても答えはでなくて。
 もやもやした気持ちがいっぱいになった時、図書室の前に着いていた。


 ドクン、大きく鳴る心臓。

 目をつぶり、ひとつ大きく息を吸って吐き出す。

 図書室のドアに手をかける。


 このドアの向こうに待っているのは、どんな真実なんだろうーー