「それで、花乃は……なんていうか、松岡先輩とはもう会わないってことに納得してるの?」
志穂は、いきなり核心をつく質問をした。
花乃は、しばらく考えながら器の中の色鮮やかな世界を眺めていた。
「ううん、会いたい。ずーっともやもやしてる気持ちがあって、もしかしたら松岡くんに会えばはっきりするのかな? って思ったの。それに、こうちゃんの話も聞きたい。……でも、きっと松岡くんにとっては辛い話だから、どうしていいかわかんないの」
花乃は、ゆっくりと今までの事を志穂に話したことで、自分の中の感情が少しずつではあるがはっきりと輪郭をあらわしつつあると思った。だから、もしかしたら、当事者の松岡と話す事でもっとはっきりとした形になるんじゃないかと思ったのだ。
でも、「もう、会わない」と言った松岡の気持ちを考えるとどうしても、会いに行く事に抵抗を感じてしまう。
「花乃、もうすぐ夏休みになっちゃうよ。……私も、どうするのがいいいのかわかんないけど、花乃がこうしたいって言えば応援するから。だから、会いたいって思ったなら会った方がいいよ」
花乃の話は、志穂が想像していたよりもずっと重い内容で気持ちがうまく整理できないのも当然だと思った。いきなり、忘れていた記憶を取り戻したと思ったら、当事者が亡くなっていたのだ。混乱しない方がおかしい。

