「どうぞ」
そう言ってテーブルに置かれたのは、小さな透明の器だ。中には色鮮やかなゼリーのようなものが入っている。
「え? 頼んでません」
志穂がびっくりして店員の顔を見上げたが、彼は動じる様子もなく笑顔で答えた。
「サービスです。……実はコレ、まだ試作品で商品じゃないんだ。だから、お会計の時にでも感想をもらえると嬉しい。ちなみに、これフルーツのジュレで、いろんな種類のフルーツを組み合わせてあるからカラフルでしょ? 夏らしくていいかな? って思ってるんだけど、まだマスターからGOサインが出なくって。意見をください。お願いします」
そう言って、彼は頭を下げた。
見た目も鮮やかなジュレには、花乃も志穂も心惹かれていたし、ちょっと口寂しかった事もあり、会計時に感想をいう事に快諾した。
少し話が重くなっていたので、気分転換にもちょうど良かった。

