恋文~指輪が紡ぐ物語~



「お待たせしました~」

 明るい場違いな声は、先程の店員だ。

「オレンジ紅茶のお客様。……どうぞ。砂糖の代わりにこちらの特製オレンジシロップをお使いください。……ハニーコーヒーになります。パンケーキはもう少々お待ち下さい」

 花乃の前に置かれた透明のポットとオレンジ浮かんでいる透明なカップ。志穂の前にはシンプルな白いカップが置かれた。

「紅茶ってきれいな色だよね。透明なカップいいね」

「うん。……でもオレンジシロップって初めて」

「このお店、好きかも」

 そう言って、志穂は店内を眺めた。
 シンプルだけど、ところどころに可愛いオブジェが飾ってあったり、豊富なドリンクはまた次回頼んでみようと思わされる。また足を運びたくなる。

 まだ、『おひとりさま』経験はないけれど、ここならひとりで来てもくつろげる気がする。


「そう言えば、しーちゃん。なんでこのお店知ってたの?」

 お店に入る前にも聞きそびれてしまった事を思い出して花乃は訊ねてみた。

「……部長の弟が、バイトしてるんだって。それで部長が様子をみに来たら気に入っちゃったらしくて、教えてくれたの」

「政宗先輩って弟いたんだ? 知らなかった。今日はいないよね」

「うん。休日だけだって。夏休みもやるみたいだけど。ちなみにうちらの後輩だよ」