「ここ、ドリンクの多いね。特にコーヒーと紅茶」
志穂の言う通り、メニューにはコーヒーと紅茶の種類がずらりと並んでいる。コーヒー好きの志穂と紅茶好きの花乃ではあるけれど、種類に詳しいかというとそうでもない。
メニューの隣に簡単な説明が載っているが、ふたりはこんな種類があったのかと驚くばかりだ。
「花乃、決まった? 私は、パンケーキとハニーコーヒーにする」
「私もパンケーキと、あとオレンジ紅茶」
外は夏らしく暑かったが、急に涼しい店内に入ったふたりは温かいドリンクを選んだ。
注文を済ませると、花乃が真面目な顔をして志穂をまっすぐに見つめた。
「しーちゃん、心配かけてごめんね。上手く整理できてないけど、ひとつだけちゃんとわかった事があるの」
そう言って、首にかけていた指輪を志穂に見せるように摘んだ。
「この指輪ね、私のお父さんから私がもらったものだった。最初で最後のプレゼントだったの」
「……花乃」
志穂も花乃の父が、花乃が産まれた日に交通事故で亡くなった事は知っていた。だけど、指輪の話は初耳だ。花乃自身も忘れていたのだから当然だろう。
花乃が志穂の隣に引っ越してきたのは、小学校に上がる時。隣に越してくる前の事はよく知らない。

