恋文~指輪が紡ぐ物語~


 志穂が行ってみたいと言ったカフェは『Perche~ペルケ~』という名前の落ち着いた雰囲気のお店だった。

 学校からは歩いて15分くらいで、大通りから少しそれたところにそのお店はあった。シンプルな外観にイメージを壊さないような小さな看板がかかっていた。

「どういう意味だろう?」

 と、花乃は首を傾げながら志穂に問いかけた。

「フランス語で止まり木って意味なんだって」

「しーちゃん、詳しいね」

「ちなみに、隣に花乃の好きそうな雑貨屋さんもあるよ」

 志穂の言葉に花乃が視線をカフェの先へ移すと『Perche~とまり木~』という看板が見えた。

「……同じ名前?」

「オーナーが同じみたい。さ、早く入ろ」

 志穂に促され花乃もカフェに入って行った。

 シンプルな外観同様に店内もシンプルで落ち着いた雰囲気だ。ベージュとダークブランを基調としている店内にはクラッシックが流れていた。

 先客はカウンターの2人と、窓際のテーブル席の3人組。すべて女性だった。