恋文~指輪が紡ぐ物語~


『 花乃ちゃんへ

久しぶりだね。
元気にしてる?
毎日は楽しい?
それなら、僕はなにも言うことはないよ。

だけど、僕は花乃ちゃんに謝らなきゃいけないことがあるんだ。
約束を守れなくて、ごめんなさい。

小さい頃にした約束。
花乃ちゃんは覚えてる?

僕が大きくなったら、花乃ちゃんから預かった指輪を持って会いに行くって約束したよね。
花乃ちゃんが、お父さんからもらった大切な大切な指輪。
本当は、僕なんかが持ってちゃいけないんじゃないかって大きくなるにつれてそう思うようになった。
でも、花乃ちゃんとの約束が嬉しくて、花乃ちゃんが「待ってる」って言ってくれたのが嬉しくて、返す気にはなれなかったんだ。

こんな形で、君に返すことを許してください。
本当にごめんなさい。

それから、僕は花乃ちゃんに幸せになってもらいたい。
だから、僕のことは気に病まないで幸せになってください。

素直でまっすぐな花乃ちゃんが大好きだったよ。
だから、花乃ちゃんは自分の気持ちに素直にね。

花乃ちゃんと出会えて幸せでした。
ありがとう。

       浩介 』