恋文~指輪が紡ぐ物語~


 花乃がげた箱を開けると、もう見慣れてしまった白い封筒が入っていた。

 松岡の正体を知った花乃にしたら、早く彼に会いたくて仕方ないのが正直な気持ちだった。はやる気持ちを抑えながら、封筒を開け中の紙を取り出す。


『放課後 屋上で待ってる』

 それだけが書かれていた。

 放課後、花乃は胸の中で呟いて目を瞑った。

 放課後にはすべてがわかる。

 こうちゃんに会える。
嬉しいと思うのに、だけど今までのことを考えると複雑で。早く放課後になってほしい気持ちと、放課後になんてならないでほしい気持ちが交錯する。

 松岡は、思い出したことを喜んでくれるだろうか?
 それとも、今頃かとあきれるだろうか?

 百面相をする花乃を、志穂は心配そうに見つめている。

 本音を言えば、松岡には会わせたくない。だけど、そんなことを言ったって花乃は納得しないのもわかっている。

 どうしたらいいんだろう?

 なるようになるなんて、考えられない。

 傷つくことから避けられるなら、避けたほうがいい。志穂はそう思っている。
 だけど、花乃は自らぶつかっていこうとする。