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 静けさがやけに響く。不思議な事を感じると、ひとりベッドの中で思った。

 いつものようにベッドに入って眠ろうとした花乃だったが、全くといっていいほど眠気が訪れない。

 頭が冴えているのだ。
 昼休みにどこかへ行っていた志穂。戻ってきてから様子がおかしかった。
 放課後に会った松岡。彼もいつもとは様子が違っていた。いつものんびり構えている彼が、今日はどこか焦っているようだった。

 何度か寝返りを打ったが、やはり眠気は訪れない。

 諦めた花乃は、水でも飲もうとキッチンへ向かった。

 しかし、キッチンには先客がいるようで明かりが漏れている。

 看護師をしている母親は不規則な生活をしている。そんな母がテーブルに肘をついてぼんやりとしていた。

 その表情をみた花乃は、ハッとした。


――この表情…