「…どんな人なんですか?」
松岡の表情の読めない顔を思い出しながら、志穂は聞く。
「う~ん…悪いヤツじゃないよ。てか、どっちかってーと真面目で…あ~、頑固。うん、頑ななとこがある」
「頑な、ですか?」
あまり聞き慣れない言葉。頑固とは違うのだろうか?
「そう、頑な。まぁ、悪い意味ばかりじゃないけど。芯が強いよな」
榊がいう松岡と、志穂が会ったつかみ所のない松岡が繋がらない。
だけど、自分がやることは決まってる。
「部長。悪いんですけど、お願いがあります」
「ん?なに?俺の…」
「違います」
榊の言葉を全て聞かずに、否定する。彼の話に合わせていたら、話が進まない。
「明日の昼休みに…」
榊が了承すると、志穂は「ありがとうございます。やっぱり部長は頼りになりますね」と極上の笑みを浮かべた。
「…無意識ってのが質悪いよな」
ポツリと呟いた榊の言葉は、志穂には届いていない。

