「別に悪いとは言わない。そんな志穂の耳に入れといた方がいい噂があるんだけど。どうせ、遅かれ早かれ伝わるだろうから」
そんな前置きをして、榊は続けた。
「花乃ちゃんと松岡が付き合ってるって噂があるんだけど」
一瞬の間が空いた。
「あくまで噂だけど」
空白を埋めるように、榊は口を開く。
「…部長が知っているって事は、かなり浸透してたりします?」
「まぁ、そうだろうね。…てか、ずいぶんと落ち着いてるじゃん?知ってた?」
「いいえ。ただ、予想はしてました」
毎日毎日、放課後に会ってたら、そんな噂だって流れるだろう。
そんな自分を心配そうに見つめる榊に気づいた志穂は、あることに気づいた。
「部長って、松岡…先輩の事知ってます?」
「知ってるもなにも…」
1年からの腐れ縁だ。そう言って、榊は苦笑した。

