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 ある決意を胸に花乃は、学校にきた。

 今朝は、花乃ひとり。

 志穂は部活の朝練に出ている。
 志穂の所属している弓道部の朝練は、基本的には自主トレだ。
 生徒会の副会長をしている志穂は、必然的に部活に参加できる時間が少なくなる。だから、真面目な彼女は、できるだけ朝練に参加するようにしているのだ。


 ひとりで歩く通学路はいつも長く感じてしまう。だけど今日は、あっという間に学校についてしまった。


 げた箱を開け上履きを取り出そうとした花乃の手が止まった。


ーーまた?


 白い封筒。昨日と同じ。
 花乃の名前が 書かれている。
 差出人は書かれていない。

 花乃は、封筒を開け手紙を取り出す。


『あの指輪は、君が父親からもらったベビーリングだよ。思い出して』



 やっぱり、この人は、何か知ってる。


 思い出さなきゃ。

 きっと、とても大切なこと。