静かな空間。
花乃と松岡以外は誰もいない。
気まぐれな梅雨の晴れ間。
窓越しに降り注ぐ日差しが、ふたりを包む。
花乃が泣き止むまで、何も言わずに松岡はぼんやりと外を見つめていた。
ふと、顔を上げた花乃は、そんな彼を見て再び思った。
ーーどこかで、とても身近で見たことがある。悲しげな表情。
遠くを見つめる瞳は、何を見ているのだろう?
「落ち着いた?」
遠くを見つめていた瞳が、花乃に向く。
花乃はコクリと頷く。
ーーどこかで、会ったことある?
聞きたい事は何故か声にならなかった。
「これ、私の…だと思う。たぶん、とても大切なもの。だから…」
花乃は言葉を探して黙り込んだ。
「だから、これを私のげた箱に入れた人に会いたい」

