今日の店内は、何だか様子がいつもと違った。

店員のゆるさとか、そんなのはいつも通りだけど・・・何かが違ったんだ。


とりあえず、君といつものイスに座る。


君はいつも通り、アップルパイとコーヒーを注文して僕の顔を見た。


今日は、僕も珍しくコーヒーを注文した。



ところであの日の傷は、まだ完全には治っていない。

一昨日ようやく頭の包帯が取れたところで、まだ目の上の絆創膏は残っていた。


顔を洗うとき、多少しみるけどそこは男、我慢我慢!


傷が癒えるのと同時に、段々マスターへの怒りも薄れていった。



マスター・・・・


あっ!マスター


そういえばマスターがいない!


こんな単純すぎる違和感の正体に、がくりと肩を落とした。


今の僕にとって、マスターがいないという状況は、多分きっと喜んでいい状況だと思うが・・・ちょっと複雑だ。



「お待たせしました。」

見たことのない、女の店員がコーヒーとアップルパイをテーブルに置いた。


「あっ!」

君が突然、店員を指さして叫んだ。


ん・・・・?


ってオイ!

見知らぬ店員さんに指さしちゃ失礼だろ!

僕は、咄嗟に君の手を押さえた。


「あっ!」

すると、店員の方も君を指さして叫んだ。


ん・・・・?


知り合い?


コーヒーを一口飲んで、君と店員の様子を見ていた。

まぁ、店員のコは君と同い年くらいに見えるし、学生時代の友達か何かだろう。


だとしたら、すごい偶然だよな・・・

たまたま君が行きつけのカフェで、君の友達が働いてるなんてさ。