離婚には初めはパパもママも正樹の両親も認めてくれたかったが、正樹が両親やパパとママを納得させてくれた



最後まで正樹はいい旦那だった





『麗奈と卓也さんは本当に運命だったんだな』



荷物をまとめていると正樹が言った


『どうして?』


『俺な言わなかったけど麗奈がプロポーズ受けてくれた日の夜、卓也さんが夢に出てきたんだよ!』


『卓也が?だって…卓也の顔…その時まだ知らないでしょ?』



正樹を初めて卓也の家に報告しに連れて行ったのは結納の前の日だったのでプロポーズした時は卓也の顔を正樹が知っているはずがなかった


『あぁ…知らなかったけど、すぐ卓也さんだと気付いたよ!作業服みたいなの着てたしな!夢じゃなくて本当に俺の前にいたんだ!朝起きたら木のクズみたいなのが落ちてたんだ』


『そんな…卓也が…』


『それ程、お前を愛してたんだよ!仏壇の写真見て驚いたもんな〜!あの時と同じ格好してたからよ!絶対幸せにしてあげる自信あったから麗奈には言えなかったんだ!でも…俺の負けだよ』



正樹の目には沢山の涙が溢れているのが分かった



『正樹…お願いだから幸せになってね…短い間だったけど本当にありがとう』


『あぁ…お前も幸せになれよ!自分に素直に生きろな!』



あたし達は最後に握手をして別れた



正樹は、あたしが見えなくなるまでずっと手を振っていた




正樹……



もう少し正樹と出会うのが遅かったらきっとあたし達は別れる事は無かったかもしれないね…



あの頃のあたしには卓也より誰かを選ぶには早過ぎたんだね…




あの日



天気予報では雨だったのに



雨は一度も



降らなかった