愛しいひと







「葵?なにぼーっとしてんのよ。昼休み終わっちゃうよ」


空を見上げながらぼんやりと考え事をしていた葵の顔の前で手をふる紗季。


「ごめんごめん、ぼーっとしてた」


笑いながら視線を紗季に向ける。


「まったく、もう。」

「あ、なあ、葵と空もう話しとかしたん?」


向かい側のベンチで剛弘のパンを摘み食いしていた海輝が、葵と空を交互に見ながら問いかける。


「なあ、空ー」

「・・・声でけーよ」

「だって、返事くれねえんだもん」


頬を膨らます海輝が可愛くて笑ってしまう。


「あ!葵、笑いやがった」

「あはは。ごめん。空とは少し話したよ。自己紹介くらい。もしかして、同じクラス?」

「そうだよ。私の斜め後ろだから、葵の席の隣」

「空、いーなあ!」

「俺が遊んでやるよ、たけ」

「海輝はやだっ」

「だから、声でけえって」

「空、朝からずっとここにいたの?」

「あー・・・、うん。寝てた」

「もうすぐテストなのに余裕だね」




・・・・・・え!?!?






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